イギリスのハーバリスト ジョン・パーキンソン
アロマテラピー検定でピックアップされている16世紀ごろのハーバリストは、ジョン・ジェラード、ジョン・パーキンソン、ニコラス・カルペパーの3人です。全員イギリス人ですね。なぜイギリス人だけが検定の内容に選ばれたのか?という話はまた今度。
この3人のうちパーキンソンは、検定の教科書にもアロマテラピーのめぼしい本にも、著書の日本語名『広範囲の本草学書』(原題は教科書になかった)と「チャールズ1世に仕えた」こと以外、何の情報もありませんでした。ほんとーに、見事に、何もなし。これには正直びっくりしました!(アロマテラピーに関係ない本で、日本語の情報も少しだけありました)
これでは、そもそもなぜこの3人がピックアップされているかもわからない、アロマテラピーの先生はいっぱいいて、ブログに検定の情報を載せている人も多いのに、そこにもめぼしい情報がない。アロマセラピストで歴史好きな人、歴史を学ぶ価値を知っている人は、ひとりもいなかったんでしょうか。というか、みなさん色々、気にならないんでしょうか・・・
「歴史を学ぶ」ということは、「ジョン・パーキンソン-広範囲の本草学書」みたいなクロスワードパズルではないし、ほとんどの人が遊びで検定を受けているんだから、受かるために効率的に勉強するんじゃなく、楽しみながら広く学べばいいと思います。その方が楽しいしね。
単語の羅列で終わっていたアロマセラピストの人は、もう少し歴史に興味を持ってもらいたい・・・英語版ウィキペディアの情報は文法もシンプルだから、略歴くらい辞書があればだれでも訳せるからね。ここまで詳しく教えることがなくても、教師は自分が教えることの深い情報を、知っておかなくてはならないと思います。それがプロ意識。
閑話休題。
以下は、主に英語版ウィキペディアの情報を基にしています。日本語版の項目も作らなくちゃいけませんね。時間があれば、また・・・
Nature's Alchemist: John Parkinson, Herbalist to Charles I
- 作者: Anna Parkinson
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ジョン・パーキンソン(John Parkinson,1567年-1650年)は、イギリスの偉大な薬剤師(herbalists)であり、植物学者、博物学者、造園家でした。Worshipful Society of Apothecaries(薬剤師名誉協会)の創立メンバーの一人でもあります。
パーキンソンは1567年に生まれ、若年期をヨークシャーで過ごし、14歳の時に見習い薬剤師になるためにロンドンに移住しました。順調に出世の階段を上り、最終的にジェームズ1世の薬剤師となり、1617年から1622年までWorshipful Society of Apothecaries(薬剤師名誉協会)の創立メンバーでした。1618年には、Pharmacopoeia Londinensisia(ロンドン薬局方)を出版する委員会に所属していました。
植物の正確な栽培法が書かれた園芸書「Paradisi in Sole Paradisus Terrestris(日のあたる楽園、地上の楽園, 1629年)」、英語で書かれた本草書としては、当時最も完全で美しいと言われる「Theatrum Botanicum (広範囲の本草学書, 1640年)」という、2つの重要な著作で知られています。
王党派の庭園論者であり、腕を買われてジェームズ1世の薬剤師に任命されました。そして後に、チャールズ1世に仕え、「Botanicus Regis Primarius(王室主席植物学者)」の称号を与えられています。
珍しい植物の収集家としても知られ、現在のトラファルガー広場の近く、コヴェントガーデン(Covent Garden)のLong Acreに自分の植物園を作り、イギリスやヨーロッパの名だたる植物学者、薬剤師、園芸家と親しく交流したそうです。
次回は、「Paradisi in Sole Paradisus Terrestris(日のあたる楽園、地上の楽園, 1629年)」について書きます。ジョン・ジェラードを1日に無理やりまとめたら長すぎたので、今度は分けることにしました。
この本はウィキペディアの「ジョン・ジェラード」のページで紹介されていました。ヨーロッパの「庭園」の歴史と思想についての本で、パーキンソンの情報もあります。なかなかおもしろい本。
もう一冊日本語の資料があるんですが、それはこの連載のオオトリなので、どうぞお楽しみに(笑)
追記:ジョン・パーキンソン関連エントリ