ジョン・パーキンソン著『日のあたる楽園、地上の楽園』補足
パーキンソンの美しい園芸書『日のあたる楽園、地上の楽園(Paradisi in Sole Paradisus Terrestris)』の補足情報です。『広範囲の本草学書』また後日!
タイトルが長いので、以下『日のあたる楽園』で統一します。英語版ウィキペディアには『広範囲の本草学書』より『日のあたる楽園』の情報の方が詳細に書かれているので、ハーバリストとしてより、園芸家として有名なのかもしれません。
『日のあたる楽園』は、「イギリス地域で栽培可能な、あらゆる種類の素敵な花のある庭園(A Garden of all sorts of pleasant flowers which our English ayre will permit to be noursed up)」 という、説明的なサブタイトルがついています。
『日のあたる楽園』中表紙。
1625年、フランス王女ヘンリエッタ・マライアが、チャールズ一世と結婚するために、セントジェームズ・パレスにやってきました。
パーキンソンの伝記作家で、遠い子孫だというアナ・パーキンソンによると、パーキンソンは15歳の王妃の指導の役割を与えられ、園芸書『日の当たる楽園、地上の楽園』を執筆した時のことも話したそうです。彼が「言葉の庭園」と呼んだこの作品を、ヘンリエッタ・マライアにささげたのは自然なことでした。若き王妃が読む美しい園芸書。美しいイメージですね!
この園芸書は、現在ではこのように評価されています。「イギリスで出版された、園芸についての初期の重要な本で、17世紀初頭のイギリス庭園を、絵のように描写したハントカタログ(大全)になっています。このような、楽しくて、家庭的で、文学的な庭園のスタイルは、ガーデナーが今日でも大切にしています。」
この本には、庭園設計や土づくり、種まきなどの具体的なガーデニングノウハウの他に、108のページに約800もの植物の図版が掲載されています。
これらの図版の多くは、ドイツ人画家クリストファー・スウィッツァー(Christopher Switzer)によるオリジナルの木版画で、他の図版は、マティアス・デ・ロベル(Mathias de l’Obe、ロベリウス)、カロルス・クルシウス(Carolus Clusiu、シャルル・ド・レクリューズ)、そしてオランダの彫版職人クリスピン・ファン・ドゥ・パス(Crispijn van de Passe the Elder)の「Hortus Floridus(花の園)」の図版をコピーしたものでした。
今回調べた中でおもしろかったのが、彫版職人クリスピン・ファン・ドゥ・パスです。英語版ウィキペディアではVan de Passe family(ファン・ドゥ・パス一族)という項目につながるんですが、オランダの彫版技術の一族なんだそうです。彫版とは、版画に使う版木を彫ることですね。
ちなみに、クリスピン・ファン・ドゥ・パスの花の絵は、ポスター通販ショップオールポスターズで入手可能です!⇒オールポスターズークリスピン・ドゥ・パス
クリスピン・ファン・ドゥ・パスは、芸術家・画家たちのギルドのメンバーだったそうですが、パーキンソンは薬剤師ギルド、ジェラードは床屋外科ギルドと、この時代は何を調べても、職能別のギルドが出てきます。