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ジョン・パーキンソン著『広範囲の本草学書』

お待たせしました!今日は、アロマテラピー検定に出てくる3人のハーバリストのうちの一人、ジョン・パーキンソン(John Parkinson)の本草書『Theatrum Botanicum(広範囲の本草学書)』についてです。

検定の勉強をしようにも、ジョン・ジェラードとジョン・パーキンソンの区別がつかず、困った方も多いのではないでしょうか。ふたりとも、日本語の情報がほとんどないから大変でした・・・

Theatrum Botanicum; The Theater of Plants Or, an Herball of Large Extent Containing Therein a More Ample and Exact History and Declaration of the Phys

Theatrum Botanicum; The Theater of Plants Or, an Herball of Large Extent Containing Therein a More Ample and Exact History and Declaration of the Phys

 

 『Theatrum Botanicum』はラテン語で、「植物の劇場」「植物の世界」という意味です。

上の書影を見てわかるとおり、「; 」以下がサブタイトルなんですが、『日のあたる楽園、地上の楽園』のサブタイトルをはるかに超えた長さです。

「The Theater of Plants Or, an Herball of a Large Extent, Containing therein a More Ample and Exact History and Declaration of the Physicall Herbs and Plants …(まだまだ続きます)」

すーっごく長いです。おそらく、このサブタイトルの一部「an Herball of a Large Extent」をとって、日本では『広範囲の本草学書』とよばれているのでしょう。『植物の劇場』でいい気もしますが(笑)

 

パーキンソンは『Paradisi in Sole Paradisus Terrestris(日のあたる楽園、地上の楽園)』で、メディカル・ハーブ(simples)の庭をテーマにした第四章の構想をほのめかしていました。この構想は、後に『Theatrum Botanicum(広範囲の本草学書)』としてまとめられました。

1633年に、ジョン・ジェラード著『The Herball or Generall Historie of Plantes (本草または一般の植物誌)』のトマース・ジョンソン改訂版が出版され、人気を博していました。そのため、『Theatrum Botanicum』の出版は予定より遅れることになり、結果的にさらに充実した内容となって、1640年、パーキンソンが73歳の時に出版されました。

この本は1,688ページに及ぶ大著で、英語で書かれた当時の本草書の中で、最も完全で美しい本と言われています。

 

1386ページに掲載されたオークの木の図版

 

最初は、ミドルセックスの彼の家の近くに育つ植物など、33の土着の植物についての解説から始まりました。取り上げられたウェルシュ・ポピー(Welsh poppy)やストロベリー・ツリー(Strawberry Tree)、アツモリソウ(Lady's Slipper)といったイギリスの植物は、一般的でありながら注目されることがなく、それまで記録がなかったのです。

ジェラードの本草書と同じように、さまざまな本草書・植物研究を参考にして書かれました。また、フランスの植物学者で、晩年イギリスで暮らしたマティアス・デ・ロベル未発表研究を取り入れたたことで、当時のイギリスで知られていない植物も掲載されました。パーキンソンの庭園の植物や、海外で新しく見つかった植物なども含め、ジェラードの本草書より約1,000種多い、3,800以上の植物について解説されています。

『Theatrum Botanicum』は、薬剤師のための信頼できるガイドとして書かれ、彼の死後100年以上その役目を果たしました。パーキンソンは、この著書をチャールズ1世に捧げ、無報酬の名誉称号「Botanicus Regis Primarius(王室主席植物学者)」を与えられました。

イギリス庭園の文化史―夢の楽園と癒しの庭園

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