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医療占星術と獣帯人間(zodiac man)

ニコラス・カルペパーと当時の医者と薬剤師たち

必須教養であり科学だった占星術

に続いて、また占星術の話です。占いの歴史は人間の歴史と同じだけ長く、幅も広いのですが、今回は医療占星術についてです。未来を知りたい、寿命や健康、病気について知りたいという気持ちは、今より病気が多く、その原因も分からなかった昔の人々には、切実な願いでした。プトレマイオスによると、医療と占星術の結びつきを完成させたのは、エジプト人だそうです。

 

人体と十二宮の照応関係を示した図(ベリー公のいとも豪華なる時祷書より)

The Anatomical Zodiac Man(ベリー公のいとも豪華なる時祷書より)

医療占星術の大きな概念のひとつは、大宇宙と人間という小宇宙のアナロジーです。星々の動きと、人間の身体の状態に、何か関係があるのではないか。そういう考えが基本になっています。天の 星々に人間の身体を見て、身体の中に星々を見る。ロマンチックですね!図はなんだか、すごい感じですが(笑)

1702年の暦書に掲載された人体図

1702年の暦書に掲載された人体図

この照応関係を示した図を「獣帯人間(zodiac man)」と呼びます。獣帯(zodiac)とは、天球上の黄道を中心とした、太陽・月などの惑星が運行する帯状の領域のことです。

星占いの文化交流史 (シリーズ言葉と社会)」によると、「獣帯人間(zodiac man)」は、多少のヴァリエーションはありますが、牡羊座を頭部に対応させ、牡牛座、双子座と移るにつれて身体の下の方に移っていき、最後に魚座が足に対応します(春分点で頭と足がくっついてしまうわけですが、その点はスルーされているようです)

そして、この照応関係は、内臓あるいは病気にまで拡大されて考えられ、診断にも活用されていました。

 

また、この獣帯人間の考え方は、ギリシャ語で書かれた西洋の出生占星術の本「ヤヴァナ・ジャーカタ(西方の異民族の占星術)」によって、ギリシャからインドにも伝えられました。

インドにはもともと、プルシャ(原人)神話があったため、「獣帯人間(zodiac man)」という考え方は、なじみやすかったそうです。プルシャ(原人)神話とは、世界の始まりには、大きな人(原人)だけがいて、その原人が解体することで全てのものが誕生した、というものです。

つまり、原人と、世界全てが対応関係にあるわけですね。原人=世界=人間という対応関係が、自然に受け止められたのでしょう。

日本の平安時代にも、仏教の装いでインド系占星術宿曜道」が、中国から伝えられました。日本に伝わった「七曜攘災決」などの「宿曜道」のテキストには、獣帯人間と同じように、天の星々と人間の身体の照応関係が表されています。

星占いの文化交流史 (シリーズ言葉と社会)

星占いの文化交流史 (シリーズ言葉と社会)

 

 この本、書店でちょっと見たんですが、かなりおもしろそうでした。でも分厚いー!