ギリシャ・アラビア医学と四大元素
古代ギリシャのヒポクラテスに始まるといわれる西洋伝統医療「ユナニ医学(ギリシャ・アラビア医学)」。
「4つの体液のバランスが崩れると病気になる」という「四体液説」、四体液と対応して考えられた「四大元素説」をベースに、占星術や錬金術が結びついて発展しました。
ユナニ医学の古典、イブン・シーナーの「医学典範」でも、「四体液説」と「四大元素説」は詳しく説明されていましたが、日本語ではあんまり情報がないんですよね。
というわけで、ウィキペディアの「四大元素」のページをがっつり書き足しました。
錬金術の本と、最近ちょっとずつ読んでいる占星医術の本と、あと『医学典範』を参考にしています。表現がむずかしいですが、独自解釈NGなので、お許しくださいませ。
占星医術とハーブ学の世界: ホリスティック医学の先駆者カルペパーが説く心と身体と星の理論
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占星術とハーブで有名なニコラス・カルペパーを中心に、西洋伝統医療を紹介した本。すばらしいですね!
アロマテラピー検定を受けたときにこの本があれば、血眼になって調べものをしなくてよかったなぁ・・・(遠い目)
といっても、なかなかいいお値段なので、当時は思い切りがつかなかったかもしれません。西洋伝統医療がくわしくわかる本はほとんどないので、高いけど買いです。
四大元素の説明もしっかりありますが、これはイブン・シーナーの説明と内容はほぼ同じでしょうか?イブン・シーナーすごいな・・・
古代ギリシャで「四大元素説」を最初に唱えた人は、エンペドクレスという人で、「火・空気・水・土」の4つの元素で世界は構成され、愛(元素を融合させる力)と争い(元素を引き離す力)で元素が集合離散し、自然や物質を構成していると考えました。
これが一般的にイメージされる「四大元素説」ですね。わたしもこれだと思っていました。
「愛」と「争い」っていうのも、ちょっとおもしろいですしね。でも、元素に感情があるわけではないので、そういった「力」をそう呼んでいるというだけみたいですが。
エンペドクレスはとても尊敬された人物だったそうですが、あるとき調子に乗りすぎたのか、自分は神だと証明するために、火山の火口に飛び込んで死んだ、といわれています。「オレ神様だから、火口に飛び込んだって大丈夫だぜ!」みたいな。
諸説あるうちのひとつなんですが、ぶっ飛びすぎていて、もしかしたら実話なんじゃないかという気がしてならない・・・(汗)
この有名なエンペドクレスの四大元素説ですが、後世にひきつがれた説はこれじゃありません。
まずエンペドクレスの説を受けついだプラトンが、「世界は四大元素でできている。四大元素は正多面体でできていて、分解可能で、お互いに変化することができる」と考えました。
これはちょっとびっくり。分解可能って、元素じゃなくない?と素で驚いてしまいました。
プラトン以降、ヨーロッパの四大元素説は、「四大元素っぽい説」になったといっていいのかも。
そして、後世に受け継がれたのは、エンペドクレスでもプラトンでもなく、アリストテレスでした。
天才アリストテレス。西洋文化の何を調べても、結局アリストテレスにたどり着くといっていいほどの影響力です。ヨーロッパ人がギリシャを「西洋文明の源」と呼んで執着するのも、ちょっとわかる気がする。この時代天才多すぎですよね。
アリストテレスは、世界史でちょこっと勉強した記憶はありますが、今さら真剣に読む羽目になるとは(苦笑)
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