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ジョン・ジェラードとトーマス・ジョンソン

昨日の続き。

イギリスのハーバリスト、ジョン・ジェラード(John Gerard)の本草書『the Herbal , or General Historie of Plants(本草あるいは一般の植物誌)』は、最初の1597年版は誤記が多かったため、多くの批判を受けました。

先行研究をまとめ、1,800種の植物を掲載しているので、しょうがないかなと思う部分もありますが、もちろんそのままにしてはおけません。ジェラードの死後、相続人が改訂版の作成をトーマス・ジョンソン(Thomas Johnson、c.1600 – 1644)に依頼しました。彼は薬剤師・植物学者で、ジェラードの陰に隠れ長い間忘れられていましたが、 "The Father of British Field Botany"と讃えられています。

当時のイギリスでは薬局で診断や処方も行っていたので、ジョンソンは薬剤師であり、医師でもあったといっていいかもしれません。彼は薬剤師としての経験・観察をベースに、多くの修正と約1700ページにおよぶ加筆を行いました。1633年に改訂版が出版され、ゆるぎない名著となりました。

 

残された逸話によると、ジョンソンは、ジェラードの仕事から注意深く距離を置いて、改訂を行ったそうです。例えば、彼がサフラン クロッカス(秋咲きのクロッカス)について書いているとき、こう思ったそうです。

 

”Our author in this chapter was of many minds.”

 

「この章は、私を含む多くの書き手の心が宿っている」。この本はジェラードだけでなく、たくさんの研究者の努力の成果だ、ということでしょうか。

ジェラードは、イギリス植物学の創始者のひとりであり、ドイツ本草学の成果をイギリスにもたらす、ビッグプロジェクの立案者でもありました。しかし彼は、高度な教育を受けておらず、同時代の専門家たちの評価によると、傑出した植物学者とは言えないようです。

 『the Herball, or Generall Historie of Plantes』は、ジョン・ジェラードとトーマス・ジョンソン、二人の作品として評価するべきでしょう。