ハーブのエネルギー②
ハーブのエネルギーの続き。
古代ギリシャ・ローマの医学は、ハーブや食べ物には「熱・冷・湿・乾」の4つの基本性質があると考えられていて、アラビアのユナニ医学やヨーロッパの伝統医療に受け継がれました。これが今の欧米のハーブ療法で、「エネルギー」と呼ばれているみたいです。
4つの性質は、「火・空気・水・土」の四大元素の組み合わせでできています。熱は火と空気、冷は水と土、乾は土と火、湿は空気と水の組み合わせです。これはアーユルヴェーダの考え方とすごく似ているので、インドから伝わった考え方がベースにあるのかもしれないですね。
ちなみにインドは、地・水・火・風・空(アーカーシャ)の五つの要素が世界を構成していると考えられています。さすがゼロの概念を生み出したインド、「空」が基本元素に入っているなんて・・・といっても、空(アーカーシャ)は、「色即是空、空即是色」の空(シューニャ)とは違うんだそうです。む、むずかしい(焦)
「空間」と訳されることもあるので、三次元的な広がりをさしているのかなと思いますが、いったん保留です。古代の仏教哲学を学ばないとわからないかも??
そしてこの五大の組み合わせの偏りで、体質が左右されるとされています。
閑話休題。
4つの基本性質は、四大元素の配合具合によって強弱が4度に分けられます。
カモミールは熱性第1度。このハーブはどの時代でも、おだやかな薬効で大活躍していますね。古代ギリシャから、どの時代をひも解いても目にしないときはないです。ちょっとりんごに似た甘い香りで、わたしは好きなんですが、C.M.スキナー『花の神話と伝説』では、「むしろ嫌なにおいのする路傍の植物で」、子供たちは風邪をひくと無理やり飲まされて苦しんだという話が載っていました。
うーん、いい香りだと思うんだけどなぁ。子供は嫌いなんでしょうか?
- 作者: C.M.スキナー,Charles M. Skinner,垂水雄二,福屋正修
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レタスは乾性第2度。野菜なのにハーブのカモミールより薬効が強いという。といっても、中世までハーブと野菜は区別なかったみたいです。キャベツは内服も外用にも使われていました。
橙は湿性第3度。果物も薬効あるものとして扱われていたようです。
最近注目されているアーユルヴェーダのハーブ「ホーリーバジル」は、熱性第3度。生活の木であつかってくれないかな?味見したい!
第4度になると、致死性の毒もあって、中医学でいえば下薬ですね。1度が上薬、2・3度が中薬かな?
ケシ(寒性第4度)、ホオズキ(寒性第4度)、チョウセンアサガオ(乾性第4度)と、ミステリーでも目にするようなおなじみの毒たち。中医学でも見るし、日本でもつかわれていた劇薬ばかりです。
この4度の中には、副作用がないものもあって、なんとニンニクも含まれます。ニンニクは熱性第4度。チョウセンアサガオと同レベルとは、ちょっとびっくり。
こういったエネルギーの情報は、アラビアの本草書だけでなく、農書にも書かれていたそうです。ヨーロッパでは、中世の養生書(サレルノ養生訓など)、ウィリアム・ターナーやジョン・ジェラードの本草書にも掲載されています。日本語の情報がないんですが、すっごく知りたい!
現代西洋医学では顧みられていませんが、1500年以上の経験が蓄積されたものなんだから、みるべきところが絶対あるだろうと思うので。冷え性の人が、知らず知らずに冷性のものを取っているというのはあるんじゃないでしょうか。日本でもハーブや外来の野菜は活用されているので、伝承も一緒に入れていかないと危険な気がします。
あと、薬剤師しか薬効や副作用を語れない、科学的に証明されているものしか書かないというのも、わかるんですが、もうちょっとなんとかならないかなと思います。最近はぶ茶を買って、パッケージには特に注意はなかったんですが、伝統的には「高血圧・便秘の人」によく「低血圧・お腹が緩めの人」にはNGとされているんだそうです。
医学的に証明されていない!という意見はわかるんだけど、とりあえず使用上の注意点として、知っておきたいです。
低血圧なのにはぶ茶を買ってしまったので、だれかにプレゼントしようと思います・・・生薬事典かったし、今度から中医学で使われている分は、チェックして買おう。
ハーブの性質も知りたいので、時間を見つけてジェラードの本草書を部分的にでも訳してみたいです。プロが訳してくれたらいいんですけどね~